消化器
猫の腸内異物
<症例>猫 雑種 2歳6ヶ月 去勢雄
主訴:嘔吐、軟便、食欲不振
家でヒモ状の異物を飲み込んだことがあり吐いて出てきたとの主訴で来院しました。
初診時の血液検査で炎症マーカーの血清アミロイドAが高値であったので輸液や消化管障害の治療を行いました。
しかし翌日も嘔吐が頻回にあったため消化管炎症だけでなく異物等の閉塞の可能性もあるとしてレントゲン、超音波検査を行いました。
検査の結果、明らかなうっ滞による消化管ガスの貯留等は認められないが、小腸に高エコー源性に反響する陰影が認められたため精査の為消化管造影検査を実施しました。
造影検査の結果、小腸に閉塞を疑う所見がみられた為開腹手術を実施しました。
開腹手術を行い腸管を精査した結果、空腸内に異物を確認しました。
これが摘出した異物です。
飼い主様に確認してみたところ「座布団の切れ端」と判明しました。
座布団の端の部分をしきりにかじっていたのを前に見たことがあるとのことでした。
術後、治療と食餌管理を実施し経過良好の為退院しその後は元気に過ごしています。
猫は犬に比べて行動範囲が広いため飼い主様が異物を食べたことに気づかないケースも多いです。
異物誤食を目撃した場合はできるだけ早い対応が必要ですが、なかなか吐くことが難しい場合が多く、内視鏡や開腹手術での摘出となることが多いように思います。
愛猫に異物誤食を疑われた場合は速やかにご相談ください。