消化器
腸内異物による腸閉塞

トイプードル(5歳11ヶ月去勢雄)が頻回に嘔吐嘔吐を繰り返すために来院しました。

過去に異物誤食での既往歴があるためレントゲン検査を行いました。

単純レントゲン撮影では腸閉塞にみられる異常ガス像は見られませんでした。

炎症マーカーのCRPが高値であったことから超音波検査を行いましたが膵炎、肝臓の異常像などは見られませんでした。

このため内科治療で経過観察いたしました.

次の日は嘔吐も止まり、下痢でしたが排便はあったため腸閉塞の可能性は少ないと思われました。

しかしその次の日再び嘔吐があり食欲も回復しなかったため消化管造影検査を行いました。

 

 

造影当日は結腸まで造影剤が流れていたので腸閉塞ではないように思われました。

しかし次の日も造影剤が排泄されずに残っており腸管が正常に蠕動していないと推測し、また小腸の一部に造影剤が停滞している部分がありこの部分で閉塞があると診断し、開腹手術を行いました。

 

 

開腹したところ、小腸に硬い異物が触知できました。

 

腸管切開して異物を取り出したところ、円筒形の異物が出てきました。

 

=異物の写真、異物の写真、便を除去した写真=

 

 

手術後は嘔吐、下痢もなくなり数日後には食餌も摂取できるようになりすっかり回復しました。

 

この症例は腸内異物が円筒形で空洞があったため腸閉塞特有の異常ガスの貯留がなく造影剤も通過していたため診断がしにくい稀な症例でした。

円筒形の空洞内を消化物も疎通していたため排便もありました。

異物を摂取したのは少し前だったと推測されます。

空洞内に便が詰まって閉塞したか、円筒形異物が腸内で横向きになったことで閉塞症状が表面化したと思われます。

 

飼い主様自身、今回の原因となった異物をいつ飲み込んだのか全く見当が付かないというお話でした。

その場を目撃していればすぐにわかりますが、知らず知らずの内に異物を飲み込んでしまっているケースもあります。

犬は口にくわえられる大きさの物ならそのまま飲み込むことができてしまいます。

誤飲して困るものは、愛犬の届く場所には置かないようくれぐれもご注意ください。

 

 

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