口腔
乳歯晩期残存症

乳歯から永久歯への生え替わりは多少の個体差はありますが生後約7~8ヶ月までに完了します。

少なくとも1年を過ぎてもまだ乳歯が残っている状態を乳歯晩期残存症といいます。

乳歯がいつまでも残っていると永久歯が生えてくるのを妨げ、永久歯がずれた位置に生えてきて咬み合わせの異常(咬合異常)を起こします。

特に下顎の犬歯が内側に生えてくる咬合異常が最も多く起こります。

永久歯への生え替わりの妨げとなる乳歯を適切な時期に抜歯することにより咬合異常を未然に防ぐことが可能です。

また乳歯の晩期残存症は永久歯との間に歯垢や歯石沈着し易い隙間ができ、ひどい歯周炎を起こすことがあります。

 

<乳歯残存の写真> 上下顎犬歯ともに乳歯が残っている

<抜歯後の写真>

 

乳歯が正常に抜ける時は歯根が吸収されてなくなって歯冠のみが脱落します。

歯肉から上の見える部分が歯冠で歯根は歯冠の約2倍の長さがあります。写真のように歯根がしっかり残っている場合は正常に乳歯が抜けることはありません。

乳歯の晩期残存症は、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャーテリア、マルチーズ、プードル、シーズー、ミニチュアダックス、ミニチュアピンシャーなどトイ種と言われる小型犬種に多い傾向があります。猫では乳歯晩期残存はきわめてまれです。

生後6~7ヶ月の時期には病院で永久歯の生え替わり具合の検診をすることをお勧めします。

 

カテゴリー
  • 症例紹介 (19)
  • BLOG (32)
  • ページの先頭へ