腫瘍
犬の肝細胞癌

犬の肝臓腫瘍の中で最も多いといわれているのが肝細胞癌です。

肝細胞癌は肝臓を原発とする肝臓の悪性腫瘍で、様々な形態を示します。

大きく孤立性の腫瘤で単一の肝葉に原局する塊状タイプ、複数の結節をつくり複数の肝葉に浸潤する結節性タイプ、すべての肝葉に多数の結節と肝臓実質の消失をおこすび慢性タイプがあり、それぞれの形態において予後や治療法も異なります。

塊状の肝臓癌は完全切除により良好な経過を辿ることが多いです。一方で結節性、び慢性のタイプは予後が悪いことが多いです。

症状は食欲不振、元気消失、体重減少、水を多く飲むなど様々な症状を示しますが、腫瘍が小型の時や肝臓の一部に浸潤している時などの初期段階では基本的に症状はないことがほとんどです。

 

<症例>

犬種:柴犬  年齢:8歳4か月  性別:去勢雄

主訴:多飲多尿、腹囲膨満

問診では1日の飲水量は約1リットルと非常に多く、排尿量も増加しているとのことでしたが犬は大変元気で食欲もあり散歩も喜んで行っているとのことでした。

このような多飲多尿になる場合は糖尿病や副腎皮質機能の異常、腎臓病なども考えられます。

視診、触診では若干腹囲が膨満しているようでした。

 

・血液検査

来院時の血液検査では血糖値は正常でしたので糖尿病ではなく、腎臓病やホルモン異常でもなさそうでした。

炎症マーカーのCRPは4.7 mg./dlと少し高く、肝酵素 のALPは422iu/Lと高値でした。

 

・画像検査

レントゲン検査と超音波検査で肝臓に直径10センチ以上の大きな腫瘤を確認し肝臓の腫瘍が疑われました。

確定診断のため提携病院にてCT検査を実施し肝臓の腫瘍であることと腫瘍の位置を確認しました。

悪性の肝臓腫瘍の可能性が高く摘出手術を行うことになりました。肝臓の外側右葉という部分の単一の腫瘤のため当院にて外科手術を実施しました。

 

腫瘤が大分大きくなっていたので肝葉の部分切除では全てとりきるのは困難だったため、外側右葉の完全切除を行いました。肝臓は大きな臓器でいくつかの肝葉に分かれていて再生力も高いので一つの肝葉を切除しても肝臓機能には問題ありません。

こちらが摘出した肝臓腫瘍です。大きさは12.2cm×7.7㎝×8.4㎝ 重さ448gと大変大きな腫瘍でした。

病理検査の結果により「肝細胞癌」と判明しました。

完全にとりきれており、今のところ明らかな転移は見つかっていません。手術後は良好で症状も落ち着いています。

 

このような大きな腫瘍が出来ていても食欲もあり表面上はとても元気でした。動物は倦怠感を訴えることもできませんのでこのような腫瘍疾患は発見がとても難しいです。

今回も飼主さんが水を飲む量が異常に多いのを気づいていただいたことにより発見できました。癌が異常に水分や栄養分を消費することによる多飲と考えられます。

なかなか発見しにくい疾患は他にもたくさんあります。人間も健康診断の重要性が言われてますが、動物も健診で病気の早期発見ができると救命率が格段に上昇します。

当院ではわんにゃんドック(健康診断)を行っております。ご希望に合わせてのコースも設定しておりますのでぜひご利用ください。

 

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