肺癌
犬の肺癌
種類:雑種/性別:雌/年齢:12歳/名前:シロ
1週間程前より後肢がふらつくようになり、2~3日前よりは食欲もなくなったとのことで来院しました。
来院時には呼吸の異常がみられたため、胸部のレントゲン検査を行いました。
胸腔全体が白っぽく写り、心臓の陰影も不明です。
これは胸水と言って胸腔内に水分が貯留している状態です。
胸水による呼吸困難と診断し、ただちに胸水を穿刺排液しました。
血様の胸水が約500cc排液されました。
胸水排液後のレントゲン写真では右の肺に直径約5cmの円形の白い陰影がみられます。
また胸水の細胞検査では悪性の癌細胞が検出されました。
これらの検査からレントゲンに写った白い円形の陰影は肺癌と診断されました。
シロの飼い主は癌の摘出手術を希望されなかったので、その後抗癌剤による治療を行っています。
胸水
猫の胸水
種類:アメリカンショートヘアー/性別:雌/年齢:12歳/名前:レナ

1年4ヶ月前に尾にうずら卵大の腫瘍が出来て断尾手術を行ないました。
病理組織検査の結果「軟部組織悪性巨細胞腫」という悪性腫瘍でした。この時は胸部レントゲンで肺に異常はありませんでした。
今回来院した時、食欲不振、沈うつ状態で呼吸が異常に速いとのことでした。
診察の結果重度の呼吸困難状態であり、ただちにレントゲン検査を行いました。

レントゲンでは通常空気の部分は黒く写るので、正常の場合胸部レントゲンでは肺や気管は黒く写り、心臓や大動脈は白い陰影として写ります。
(1年4ヶ月前のレントゲン写真はほぼ正常像です。)
今回のレントゲンでは胸腔全体が白くぼんやりと写り、心臓の陰影も確認できません。
わずかにほんの一部小さく縮んだ肺が黒く写っています。
これは胸水といって胸腔内に水が溜まっている様子を表しています。胸水により肺が圧迫され空気を取り入れて膨らむことが出来ずに呼吸困難になるのです。

胸水穿刺処置(215ccの胸水が抜けました。)
胸水穿刺処置後
ただちに胸腔より胸水を抜きました。
胸水が抜けたことにより肺活量が増えて緊急的な呼吸困難状態は解消されました。
胸水を抜いた後のレントゲン検査により、肺に大きな白い陰影が見られました。
また胸水の細胞検査で悪性の腫瘍細胞が発見されました。この結果肺の悪性腫瘍による腫瘍性胸水と診断しました。前回手術した尾の腫瘍との関連はまだわかっていません。
腫瘍がかなり大きくなっているのと飼い主さんの希望により外科的手術は行わず、現在抗がん剤と免疫療法、インターフェローンなどを組み合わせて治療しています。
その結果胸水の貯留も少なくなり呼吸も楽になり通常生活が出来るようになりました。
悪性腫瘍の場合でも治療によって一時的には通常の生活ができるくらいになることがあります。
このように胸水が貯留する病気には、今症例のような胸腔内の腫瘍、心臓病、細菌が感染して胸腔内に膿が貯留する膿胸、猫伝染性腹膜炎、猫白血病ウイルス感染などのウイルス疾患などがあります。
脾臓リンパ腫
種類:雑種犬/性別:雄/年齢:14歳/名前:フク

食欲はあるのだけれど散歩の時、歩かなくなり途中で座り込むまたお腹が膨れているようだとのことで来院しました。
血液検査の結果、赤血球数が165万(正常値は約600万)血液中のヘモグロビン値は3.9g/dl(正常値は約16g/dl)血球容積が12.1%(正常値は約45%)と正常の約4分の1くらいの値の著しい貧血がみられました。
かなりだるそうで診察台の上でも起立できないくらいの状態でした。
レントゲン検査と超音波検査によりお腹に大きな塊状の病変があり腹腔内の腫瘍が強く疑われました。

貧血が著しいので、約200ccの輸血を行った後、開腹手術を行いました。
開腹手術の結果、脾臓にゴルフボール大の腫瘍があり、また脾臓全体に広範囲に白斑があったため、脾臓摘出手術を行いました。
病理検査の結果、塊状病名は脾臓のリンパ腫であることがわかりました。
手術後、フクは貧血も改善し、現在リンパ腫の再発と転移防止の抗腫瘍療法を継続中です













